『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』を読んで――怖いけど気になる街のリアル

読書レビュー

どんな本か

私はKindle Unlimitedに加入しているので、何か面白そうな本はないかなーと思って物色していた時に見つけたのがこの本でした。西成といえば日本でも有名なドヤ街ですが、実際に行きたいかというと、ちょっと怖いし危ないから行けないよねという場所。でも何というか、怖い物見たさもあってどんな街か気になるなと言う場所です。なんか、全然規模は違うんですが昔あった九龍城に通ずる物があるような気がするんですね。

そんな西成で作者が実際に2ヶ月半暮らして、仕事をして来たという体験記のような本

どんな内容か

紹介でも簡単に書いたとおり、西成で実際に肉体労働の仕事をしながら「ドヤ」と言われる簡易宿泊所で生活をした話や、その生活の中で出会った人々の話が綴られています。ドヤは安いところだと1泊500円とかいうべらぼうな値段で泊まれるところもあるようですが、まぁ中身はお察しという感じ。虫が嫌いな私には絶対無理な感じのことも書いてあったり。1500円ぐらいするような所には観光客もいるということですけど、なかなかの度胸よなと思います。そういうドヤには日雇いの肉体労働者、生活保護受給者、その他何をしているのかよく分からない人が暮らしているんだとか。

日雇い労働者といっても、そういう宿にいる人や「飯場」という寮のようなところにいる人もいるそうです。飯場も宿泊費やら食事やらで給料から天引きをされて、手元に残るのはいくらもないみたいなそんな場所もあるようです。

そういった街に暮らす人々もまぁ個性的というか、ヤバい人が多いです。結構な割合でいけないお薬とかをやっていたり、アレなご職業の経験があったり、ちょっとお勤めされていたりと、色々な経歴だったり、何か話が通じなさそうな人とかだったり、まぁ色々です。みんな訳あって西成に流れてきた人達なわけですが、そういう人達が過去をポツポツと語りつつ、でもどこかみんなそういうことを隠しているような、そんな感じがうかがえます。

感想

西成は見たこともないし、これから見るチャンスも恐らくないであろうという街なので、日本に本当にこんな場所があるのかと言う感じで読みました。言い方酷いんですけど、割と地獄のような光景が広がっていることもあったので。でも、住んでいる人達は何だかんだで日々暮らしているんですね。もうすこし、違う人生もあったろうにと思いますが、それはそれで人生を楽しんでいるようにも見えます。ある意味逞しいのかもしれません。この本ではそんな西成を批判も肯定もしません。ただただ、そこで暮らしてきた、見てきたものを記録しているだけです。ここをどう思うかは読み手に委ねられているのかなと思います。まともな支援とか、社会復帰が受けられずに仕方なくこの西成に身を寄せたって言う人も相当数いるんでしょうけど、何というか、いるべくしているっていう感じの人もいるんですよね。もうまともな人生を諦めてしまった感のある人とか。そういう人達が日々わいわい言いながら生きている街があるんだなっていうのを強く感じました。でもそういう街も、高齢化の波があって労働者の街から生活保護受給者の街になりつつあるとか。そうだとすると、何か闇が深いよなやっぱりと思いました。

こういう系の本は買うかどうしようかちょっと迷うんですけど、Kindle Unlimitedで無料で読めるのでありがたいです。いつも読まないジャンルの本に気軽に手が出せるっていいですね。

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